親の心子知らず

長年、娘からは「いつになったら家の塗装をするの!」と言われていたが、ようやく家を塗装することが出来た。
塗装に掛かったお金は約200万円、そのお金があれば車を買い替えることも出来たし、私の唯一の趣味である旅行に家族揃って行くことも出来たのだが、娘が望んだのは外壁塗装。
お金が貯まるまでに時間が掛かったため、娘には長年恥ずかしい思いをさせてしまった。
年頃の娘は彼氏が出来たのだが、その彼氏に塗装が剥げた実家を知られるのが嫌で、1度も家に彼氏を連れて来たことはない。
初めて彼氏を紹介されたのは家の近くにある喫茶店で、社交辞令で私が彼氏を自宅に招こうとすると、彼氏の見えないところで娘は私を睨んだ。
塗装が剥げている実家が原因かどうかは知らないが、娘はその彼氏とは別れた。

結婚となると双方の親が相手の家に挨拶へ行くため、塗装が剥げた実家では娘に恥をかかせてしまう、かと言って娘の結婚のために貯めておいたお金は使えない。
家の塗装をするために、会社が休みはの日に私と妻は知り合いの会社でアルバイトをさせてもらった。
アルバイト仲間からは「お金がいるの?」と聞かれたが、「家の塗装をするため」とは言えず、私達夫婦は「娘の結婚式費用のために」とウソを付いた。
娘からは「休みの日に2人でどこに行っているの?」と聞かれるのだが、両親揃ってアルバイトをしているとは言えなかった。
外壁は塗装をしたことで家の外見はキレイになったのだが、家の中はあいかわらずボロい、それが嫌なのか、娘の結婚相手との顔合わせはレストランで行った。
妻は「せっかく塗装をしたのに」とボヤいているが、夫婦仲良くアルバイトは続けている、稼いだお金で家の中をリフォームをするために。

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